みこしを地面に放り落として、バラバラになるまで続けられる壮観なお祭り
「みこしまくり」。
「まくる」とは木曽地方の方言で「転がす」の意味。
文字通り400kgのみこしを転がす様は、まさに「天下の奇祭」です。
木曽地域でも大きな夏祭りのひとつです。是非お越しください。




その昔、木曽から峠を超えて隣りに位置する岐阜県高山市(旧宮村)で百姓一揆が起こり、村の神様が祀られている水無神社(みなしじんじゃ)が戦火に巻き込まれてしまいます。
この時、木曽から出稼ぎに来ていた「惣助(そうすけ)」と「幸助(こうすけ)」の信心深い兄弟は、神様を助けるため、火の中に飲み込まれそうになったご神体を神輿に収めて木曽へ運び出そうと計画します。
そしていよいよ2人は神輿を担いで逃げ出します。が、しかし、ご神体を運び出されたことを知った村人の追手と国境の峠でもみあいとなり、神輿が木曽方面へと転がり落ちてしまいます。
しかし幸い木曽方面への下り坂だったため、このまま転がした方が速いと、2人は神輿を転がしながら木曽へと逃げ帰り、ご神体を守ったのです。
そしてこの時の神輿を転がす様を再現したのが、現在の「みこしまくり」なのです。
吉村作治チャンネル「日本の祭りあれこれ」より
みこしまくりは、横に転がす「横まくり」と縦に転がす「縦まくり」の2種類があります。
どちらも迫力がありますが、特にクライマックスの縦まくりは圧巻です。


みこしまくりを見て聞こえてくるのは「ソースケ!!コースケ!!」の掛け声です。
この掛け声の由来は、「惣助(そうすけ)」と「幸助(こうすけ)」が、暗い夜道の中でも追手から逃れるために、神輿を担ぎ(転がし)ながら互いに名を呼び合い励まし合った。という云われからきています。

壊れるまで続けられるみこしまくりですが、この白木の御輿は毎年新しく造られており、その重さは約100貫(400kg)もあります。木製で重たい神輿、もちろん転がすうちに神輿の破片が出てきます。
そしてこの破片や装飾品にはとてもご利益があるとされているのです。

23日の夜はいよいよクライマックス。このお祭り最大の見どころ「縦まくり」です。
この時の商店街は大変混雑し歩くのもままなりませんが、絶対に抑えておきたいポイントです。「ドンッ」と地響きを轟かせながらみこしが転がる様は圧巻です!

祭り期間中は常に神輿を転がしているわけではありません。事前に転がる場所をチェックしておきましょう。
また毎年お車のお客様が多く大変混雑いたします。事前にご利用可能な駐車場をご確認ください。路上駐車はお控えください。
みこしまくりマップはこちら(A4/PDF)
お問い合わせ
みこしまくり実行委員会(木曽町役場内)
TEL. 0264-22-3000

木曽福島の伊谷(いや)地区にある神社。惣助と幸助が飛騨から持ってきたご神体が収められています。ご神体は本殿に納められていますが、公開はされていません。

言い伝えによれば、赤ちゃんを抱いて神輿の下をくぐらせるとその子の一生は健康で災難にあわないといわれ、神輿が町内を練り歩く間に何人もの赤ちゃんが神輿の下をくぐります。

みこし行列の先頭に立って先導する天狗様。

みこしの担ぎ手のこと。水交会(すいこうかい)に所属。枠持になることは栄誉とされている。

惣助と幸助、猿田彦、枠持は、一定期間「精進」として殺生の禁止・獣の断食・女性との交渉断を守ります。
日本の神事には面白い行事や、ユニークな伝統がたくさんあります。
そしてこの、みこしまくりもまた「みこしを転がす」という普通では考えられない
奇抜なお祭りではないでしょうか。
夏の木曽路へ来られた時は是非一度ご覧になってください。
掲載情報は2018年8月配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。