すっぱいだけじゃない!木曽の漬け物「すんき」の魅力!

すんきの魅力

毎年11月下旬から木曽谷に出回るすんき。
健康のために食べる人、大好きでたまらない人、口にする理由はさまざまですが、
すんきの魅力に引き寄せられる人たちは年々増えていて、材料のカブ菜が不足して品薄になるほどです。

赤かぶの葉

■すんきのおさらい

すんきは木曽の赤かぶの葉を発酵させて作る木曽に古くから伝わる伝統的な漬物で、冬の保存食として親しまれてきました。

最大の特徴は、塩を一切使わず乳酸菌だけで発酵させるその製方にあります。

ではなぜ、こんな製方が使われてきたのか?それは「米は貸しても塩を貸せるな」という木曽ならではの地域柄があります。海から遠い木曽地域では塩は大変貴重な存在でした。そこで冬期の貴重な野菜を、同じく貴重な塩を使わずに作る、といった先人たちの知恵が生んだ誇るべき漬物なのです。

■すっぱいほど上出来と言われるすんき。でも、しっかりうま味もあるのです。

すんきは、300年以上前から食べられてきました。地元では昔から愛されているすんきですが、

酸味が強く味が独特で、はじめての人に受け入れられるか否かはその人次第。

さらに、作る人ごとに味も違います。
すっぱいほどおいしいとされているため、すっぱいすんきができた家があれば、それを手にしようと人が押しかけた時代もあったそうです。味の違いは、カブ菜の葉の根元に多く生息する乳酸菌およびその家の漬け樽に棲んでいる乳酸菌の種類と割合によるようです。

安定した味と量のすんきを一年を通して供給するために、地元自治体も乗り出して科学的な分析・研究が進められています。

すんきの魅力その1 花粉アレルギーが改善!

乳酸菌が花粉アレルギーに効果があることは知られています。

すんきの植物性乳酸菌も、研究により花粉アレルギーに対して高い効果が得られることが分かってきています。

かく言う編集委員、木曽に戻ってきてすんきを食べるようになってからというもの、アレルギー症状が出なくなりました(これホント!)血液検査で様々なアレルゲンに反応することが分かっていた当編集委員。最も高いアレルギー反応が出ていたのがひのき花粉でしたので、他のアレルゲンに反応することもなくなり、さまざまなアレルギー症状からも開放されたのです!

木曽ひのきで有名な木曽谷ですから、ひのきを見ない日はありません。そんなこの地にあってひのき花粉によるアレルギーに悩まなくて済む。すんきの乳酸菌パワーはスゴイのです。

すんきの魅力その2 すんきはいつも「うま味」と一緒!

「グルタミン酸」は出汁と一緒になるとおいしさが倍増するうま味成分として有名です。

すんきにもうま味成分が含まれていることが分かりました。その名は「コハク酸」。

しじみなどの貝類にも含まれています。
地元では、出汁を使った料理に何気なくすんきを入れてきました。300年続くすんきの歴史を通して、おいしさを引き出す知恵が確立されてきたのでしょう。「すんき汁」「すんき蕎麦」が科学的においしいということが証明されているのです。

すんきの簡単定番レシピ3品はコレ
すんきをそのまま
すんきをそのまま
お好みで鰹節や醤油をかけて、そのまま食べるのがド定番。くせになるシャキシャキ感とすっぱさを味わえます。

すんき汁
すんき汁
具がない味噌汁を作り、すんきを入れてひと煮立ちで完成です。お酒の後にすんき汁を飲むとさっぱりします。

すんき蕎麦
すんき蕎麦
茹でた蕎麦麺にすんきを盛り、つゆをかけて完成です。お好みで鰹節や七味を添えましょう。温かい蕎麦とすんきの組み合わせはうま味が増します。

すんきの魅力その3 ヨーグルト並みの乳酸菌含有量!

すんきには、ヨーグルト並みに乳酸菌が含まれているそうです。これだけでもすごいことですが、

すんきは、植物性乳酸菌で作られますので、動物性乳酸菌で作られるヨーグルトよりすごいのです。

植物性乳酸菌は、様々な環境下で他の細菌などと共存する力があり分解されにくい性質があります。このため人の健康という観点では動物性乳酸菌より良いとされていますので、たくさんの植物性乳酸菌を摂ることができるすんきは、これ以上簡単に乳酸菌の恩恵にあずかる方法はないとも言えるのです。

さらに、植物性乳酸菌は生きて腸管まで届きますので、便秘解消や美肌効果をもたらし、ピロリ菌生育の抑制に対しても効果があることが、研究によって明らかにされてきているのです。

編集部すんきレポ①
あなたもエントリー!?〝すんきコンクール〟

コンクール当日に持参すれば誰でもエントリーできるすんきコンクールを紹介します。近年では100点以上出品される年もあり、すんきに対する関心の高まりが目に見えて分かるようになってきています。

審査は、200g程度のすんきの味、香り、酸味、色、ph値※から総合的に判断され、名人1名と達人4名が選ばれます。見た目が同じでも、鼻を近づけると風味がまったく違います。乳酸菌というミクロの世界からもたらされる漬物ですから、目に見えないだけに実に奥が深い…。

すんき大使の田中要次さんいわく「すんきは乳酸菌の気まぐれオーケストラだ!!」
この発言にはうなずくばかりです。

※ph値:酸性からアルカリ性を表す尺度。 1から14までの値で、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性、7が真ん中で中性となる。

すんきの作り方
かぶ菜を洗う
茎を刻む
湯通しする
かぶ菜とすんき種を加える
手で押し込む
一夜保温する
完成
すんきの種
編集部すんきレポ②
すんき名人に聞く〝私のこだわり〟

第23回すんきコンクールで見事名人に輝いた方にお話を伺うことができました。

二回目の挑戦で受賞されたそうですので秘策があるに違いないと構えてしまった編集員でしたが、伺ってみると審査基準は多少気にされたものの、お姑さんから受け継いだ方法で作ったすんきをなんとなく出品しただけと、控えめに答えてくださいました。

受け継いだすんきレシピでたったひとつだけこだわっていること。それはカブ菜を湯通しする際の温度なのだそうです。冷たいカブ菜を入れたときに湯の温度が下がるので、あえて高めの湯(70℃)を使用するそうです。一般的には60℃と言われていますから、名人のようにカブ菜を入れたときに湯が60℃になったほうがすっぱくておいしいすんきができるのかもしれません。公表されているコンクールに出品された方々のph測定値を見ると、名人によるすんきのphの低さ(すっぱさ)は3ポイント台でトップクラスでした。

あなたも気合を入れずに温度管理だけ気をつければ名人に近づけるかも!?

すんきに関わるイベントも開催
すんきde元気フェア
すんきde元気フェア
木曽町・王滝村の「すんきde元気フェア」協賛店で、すんき料理・すんき商品をお求めいただくとスタンプを押印。押印数に応じて特産品が当たるイベントです。

木曽スローフード街道フェスタ
木曽スローフード街道フェスタ
すんき料理や木曽牛料理、地元産野菜のサラダ、デザートなど。多彩な木曽のスローフードをお楽しみいただけるイベントです。自慢の地酒や地ビールも、どぶろくなどもあります!
編集部すんきレポ③
すんきそばを超えた!?開田高原発〝きしめんそば〟

きしめんそば
最低気温がマイナス20℃を下回ったこの日、銀世界広がる開田高原でおいしいそばを発見しました!「きしめんそば」と呼ばれるこのそばは、一見「とうじそば※」と似ていますがまったく違います。

大きめの鍋にすんきがたっぷり入ったそばつゆを熱し、そこへそば粉がたっぷりまぶされた生そばを惜しみなく入れていきます。煮えてくると、食欲をそそる香りが広がり、そば粉でとろみがついたつゆがプクプクとおいしそうな気泡を弾かせます。そばをまきこんでグツグツと煮えてきたころが食べ時。とろみがあるからかなかなか冷めない…が、これがまたウマイ!

「きしめんそば」は、古くから開田高原では当たり前に食べられている家庭料理なのだとか。そばを手打ちする家庭が多い土地柄だからこそなのでしょうが、打ちたての生そばを清々しいほどパッパッと熱いつゆへ投入する様子は贅沢でしかないです。これは間違いなく絶対食べたほうがいい冬のごちそう。寒ければ寒いほどおいしい「きしめんそば」をどうぞ召し上がれ。

※とうじそば:きのこなどが入ったつゆでそばをさっと湯がいて食べる松本市奈川地方が発祥とされるそば。そば用のカゴに小分けしたそばを投げ入れるようにして湯がくことから“投じるそば“が語源とも言われる。

すんきデータ
■すんきの定義
木曽の赤かぶの葉等を原料にし、複数の乳酸菌で発酵させた無塩の漬物。

■すんき乳酸菌
特に4種類の植物性乳酸菌が「すんき乳酸菌」とされていて、2014年に「すんき乳酸菌」として認定される。
・プランタルム菌
・デルブルキー菌
・ファーメンタム菌(旨味成分「コハク酸」を作る)
・パラブフネリ菌

■植物性乳酸菌の機能
過酷な環境に耐え、生きたまま腸管に到達でき、人の健康保持に関わる多くの機能を持つ。
・抗アレルギー
・感染症予防
・ピロリ菌の増殖抑制
・発がん性物質の除去

■世界が認めるすんきの魅力 ~味の方舟に認定されたすんき~
平成19年「木曽の赤かぶとすんき漬け」が国際スローフード協会の「味の方舟」に認定(日本では15品目)。

イタリアに本部を持つ同協会は、世界で消滅の危機にある希少な食材や地域における食の多様性を守ろうと同プロジェクトを進めている。

※すんきは、1983年長野県における伝統的な食文化を継承していくため「選択無形民俗文化財」の味の文化財としても指定されています。

掲載情報は2018年12月配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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